世界中にはメソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、中国文明等など、古代文明の遺跡が残され、人類の歴史がどこまでさかのぼれるか現在も研究が進んでいます。
そんな数多い文明のなかでも、歴史に突如として現れた謎の文明が存在します。
それが、シュメール文明と呼ばれているもので、1877年、フランスの発掘隊によってその存在が明らかになりました。
シュメール語で書かれたくさび型文字粘土板も多数出土しております。
シュメール語を記したくさび型文字の粘土板
口語としては死語になり、系統不明の謎の言語とされている。
その文化の異様な高さ、特殊な言語、どこの文化ともつながりのない特殊性、調べれば調べるほど謎の多い文明とされています。
彼らの出所を複雑怪奇にする理由は、シュメール文明の基になる文明の痕跡が見当たらないことにあります。
メソポタミア文明自体もシュメール文明を起源としており、徐々に文明が発展、継承していく痕跡は残されているのですが、このシュメール文明は、いくら発掘を重ねても、それ以前の遺跡が見つからないのです。
これはどういうことか。つまり、いきなり異様な高い文明が突如として出現したということになるのです。
現文明に大きな影響を与えているシュメール文明
元々はこのメソポタミアの地(現在のイラク。クェートにあたる)には、ウバイド人と呼ばれる人々が千年以上もそこに住み着き、それなりの文化を築いていました。
しかし、紀元前3,800年頃(約5,800年前)、どこからかシュメール人と呼ばれる民族がやって来ると、信じられない大変化が起こります。
これは文明の一大ブレークとも言うべき現象で、メソポタミアの地は、わずかの間に、前例のない大繁栄をすることになります。
それは、美術、建築、宗教は言うに及ばず、社会機構、日常の細かな慣習から楔形文字の発明に至るまで、 くさび形文字のほか、太陰暦、七曜制、60進法も生み、暦とともに占星術も発達、金属の鍛錬も知っていたといわれています。
また、スズと銅を配合して青銅をつくる合金技術も知っていました。医療では白内障の治療方法や、労働者や失業者を保護する法体系もあり、裁判ではすでに陪審制度もとられていました。
←礼拝者の像(紀元前2750 - 2600年)
そして、現在の我々の日常の中でもメイド・イン・シュメールが多数存在するのです。
週7日の暦も、1日が24時間、1時間が60分という法則も、60進法を基本とするシュメールの数学にあやかっています。1ダースが12個、1フィートは12インチということも。シュメールの文明が現文明の基礎に影響していることは否めない事実であるといえます。
彼らは、何を手本に、何に影響を受けてこれらの文明を生み出したのでしょうか。まったくもって謎であるのです。
DNA構造まで知っていた? ギルガメッシュ叙事詩の謎
これだけでもすごいのに最近ではDNA構造まで知っていたのではないかという説まで出ています。
古代メソポタミアの文学作品に「ギルガメッシュ叙事詩」というものがありますが、この中に注目に値する記述が残されています。
実在していたとされるギルガメッシュ王のこの物語では、本人自らが、「私は半神半人で、血の2/3が神だ」と語る記述があるのです。
何か変ですよね。半分が神で半分が人であるなら、1/2なのに、血は2/3が神とは?これは、今まではそんなに問題にならなかったようですが、遺伝子研究が進んでくると、このギルガメッシュ叙事詩の書かれていることが正しいと思われることがでてきたのです。
それは、ミトコンドリアDNAという母親からそのまま受け継がれるDNAが発見されたことから始まります。
普通のDNAは、母親と父親のDNAを半分ずつ持つのですが、このミトコンドリアDNAは、父親のDNAが交じり合うことはなく母親のDNAがそっくりそのまま受け継がれるということ。つまり、子供は、母親のDNAを2で父親のDNAを1の割合で持っているのです。
ギルガメッシュは、女神と人間のハーフなので、「血の2/3が神だ」というのは正しい表現ということになるのです。
「混ざり合わされた者」とは一体何を指すのか。
シュメール人自身は自らを「ウンサンギガ」(シュメール語:「混ざり合わされた者」の意)と呼んでいたとされます。自分たちのことを混ざり合わされた者と呼ぶのは何とも不思議な感じがします。
この不思議な話を更にロマン掻き立てる話にしているのが、ゼカリア・シッチン(1920〜2010)という研究者です。
彼が見つけて解読したとされる粘土板には、このシュメール人を作ったとされる「アヌンナキ」という宇宙人の存在と、未発見の太陽系の惑星ニビルの存在が記されていたとする驚くべき事実があるというのです。