SSブログ

呪われた潜水艦 Uボート”UB-65”

Cap 932.jpg

 第一次、第二次世界大戦で敵国を恐れさせたドイツの潜水艦、Uボート。この潜水艦が世界中に恐れられるようになったのは1914年9月。英国海軍の装甲巡洋艦の3隻を立て続けてに撃沈してからです。
 ドイツ潜水艦隊の華々しい活躍により、Uボートの名はドイツ潜水艦の代名詞として広く普及し、両大戦で1400隻以上が建造され、多大な成果をあげます。しかし、その戦果と引き換えにUボートもその多くが撃沈され、その死亡率は全ドイツ軍のあらゆる部署で最も高いものとなりました。

 その多くの犠牲者を出した兵器ということなのでしょうか。ドイツにはこのUボートにまつわる怪異が数多く存在しています。今回はその中から幾つかの話を。


呪われた潜水艦、UB-65にまつわる話

 UB-65は、第一次大戦中の1916年にベルギーのブルージュにある造船所で建造されました。34人乗りの潜水艦です。この潜水艦は建造当初から不運な事故に見舞われていました。

①建設中の鉄骨の落下事故で2人が事故死。
②進水式の直前に機関室から有毒ガスが発生。隔壁の扉が開かずに3人死亡。
③潜水テスト中に水夫が転落。そのまま行方不明になった。
④そのまま潜水テストを開始するが、操縦不能になり海底に半日閉じ込められる。

 といった有り様です。この時点ですでに6人が死亡しているのですから気味悪がられるのも無理はありません。しかし、なんとかテストも終わり、実戦に投入される段階でまたしても事故が起きます。

⑤初の任務で積み込んでいた魚雷が突如爆発。艦内と甲板で5人の死者が出る。
 この事故の犠牲者の一人にリヒターという男がいました。日焼けした黒い顔からシュバルツ(黒いという意味)とも呼ばれていた男は、艦を襲う怪奇現象の主役になることが後に判明します。
 爆発事故で破損した箇所の補修作業をしていると、下士官がリヒターがタラップを上っていく姿を目撃したと報告してきます。
 最初はまったくとりあわなかった艦長と中尉は、何人もの人間がリヒターの姿を見ているという報告を受けます。リヒターが腕組みをしながら艦首に立っていたという話、そしてついには、艦長自身も出航の際に31名の定員より1人多い乗組員が乗船するのを目撃するのです。その32人目はあのリヒターという男でした。
その後もリヒターの姿は幾度も現れ、恐れをなした乗組員が逃亡する騒ぎになりました。

submarino-ub-65-fantasmas.jpg
同型艦のUB型Uボート

http://fantasmas.webmisterio.com/-barcos-fantasma-submarino-ub-65.htm

 

⑦敵機の襲撃を受け、艦長の首を切断するという残酷な死を迎える。
 
1918年1月21日、
乗組員一同がもはやUB-65の忌まわしき呪いを疑い得なくなっていたその日、三人の見張り員は、艦橋に士官とおぼしき人物が立っているのを見つけます。
 目を見張ると、やはり死んだはずのリヒターです。

 艦内は一瞬にして大騒ぎになり、皆が艦橋に駆けつけてきましたが、見張り員以外の乗組員が来たときにはリヒターの亡霊は消えうせていました。



 ただ、艦長だけは間に合ったのです。リヒターがいなくなってしまう前に彼は展望塔に到着して幽霊の姿をはっきりと見たのでした。艦長の様子がおかしくなるのはこの頃からで、自らも他の将校や艦長たちに、この潜水艦は呪われていると公言するようになっていったのです。
 そして艦長自身が、その後不慮の事故に遭い死亡します。
連合軍が投下した爆弾の破片によって首を切断されてしまうという痛ましい死に方でした。

ub-65.png

 ことここに至り、さすがの軍当局もUB-65の呪いを本気で信じるよう対応に当たります。
 司祭も呼ばれてUB-65の悪魔払いの儀式が執り行われ、ほとんどの乗組員も入れ替わって新たに出航することになりました。
 しかし、UB-65の運命はもはや誰にも変えられなかったようです。以後もリヒターの幽霊は幾度も現れて、事故が続発しました。
 砲手は幽霊がいると叫びつつ、海に身を投げ、装填手は波にさらわれて溺死、機関主任は転倒して足を骨折等・・・。

 そして、ついにUB-65自体が行方不明になります。1918年7月2日、ヘルゴラント島を出航したUB-65は、その航海を最後に消息を絶ちます。
 アメリカ潜水艦AL2が、このUB-65の最期の姿を目撃しているのですが、彼らがUB-65を捕捉して今まさに攻撃しようと魚雷発射口を開いたときに、同艦は大きな水柱を上げて大爆発したというのです。

Cap 933.jpg


 原因は全く分かりません。アメリカの艦長は、同時に奇妙なものを目撃したそうです。そう、先ほどまで海上を進んでいたUB-65の艦橋に人影が見えたのです。

 それは、おそらくリヒターに違いありません。呪われた潜水艦UB-65は、こうして姿を消しました。その最後は、数々の謎めいた惨事にふさわしく、謎の爆沈という末路を迎えたのでした。

こんな記事もどうぞ

来たよ(13)  コメント(0)  [編集]
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 13

コメント 0

Copyright © 黄昏怪奇譚 All Rights Reserved.

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。