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江戸の三大怪談「累ヶ淵のお塁」現地ルポ

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実在する累ヶ淵のお塁の墓

 江戸時代の三大怪談の一つ、「累ヶ淵(かさねがふち)の塁(るい、かさね)」の墓を訪れました。江戸の三大怪談の「累ヶ淵」とはどういう怪談なのかはこちらの記事をどうぞ。

→日本の三大幽霊〜お露さんと累(かさね)さん
 

 この怪談の累ヶ淵とは、
現在の茨城県常総市羽生町の法蔵寺裏手辺りの鬼怒川沿岸で呼ばれていた地名で、1612年から1672年までの60年間に実際に繰り広げられた事件が元になっています。

  
現在の
茨城県常総市羽生町

 この事件から18年後の1690年に出版された死霊解脱物語聞書という書籍で初めて世に紹介され、それから約130年後の江戸時代になってから、鶴屋南北の「色彩間苅豆」を始めとした歌舞伎、講談、浄瑠璃などで上演されるようになって広く世間に知られるようになりました。
 最近では2007年に中田秀夫監督の『怪談』というホラー映画にもなりました。

 

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 法蔵寺には累を弔った墓があり、常総市の指定文化財になっています。
 また、法蔵寺には祐天上人が解脱に用いたという数珠・累曼陀羅・木像なども実際に保存されているそうです。

 さて、前情報はこれくらいにして、現地に向かいましょう。

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 場所は、国道294号線と354号線の交差する水海道有料道路の傍です。
 最寄りの駅は鬼怒川を挟んだ向こう岸の「中妻駅」か「北水海道駅」になります。
 バスもあるにはあるのですが、徒歩ですと1km くらい歩くことになります。
 結構、場所的には不便。

 車での参拝者用の駐車場がありました。
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 こちらは山門ですね。浄土宗法蔵寺とあります。
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 車で入った所から本堂が見えます。
 右手奥に檀家の方々の墓石が見えますが、塁の墓は別にありました。
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 古い板塀で囲った場所が、塁とその一族のお墓です。

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 脇に説明札が立てられています。
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 これは、祐天上人が除霊する時に実際に使用したといわれる数珠です。

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「塁まんだら」ですね。よく見ると、お塁の一生と、その後の憑依、除霊の模様が描かれています。塁累ヶ淵にまつわる逸話が書かれていました(クリックで拡大)
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 中に入ります。


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 脇には、与右衛門の妻、塁と書かれた卒塔婆が。
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 中央が塁の墓、右が助、左が菊の墓とのこと。元々、別の場所にあったかもしれません。
 訪れる人も多かったことでしょう。
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 国立劇場での芝居の前の役者やスタッフたちが訪れたようです。四谷怪談のお岩稲荷もそうですが、役者さんはちゃんと挨拶と供養に行き、縁起を担ぐことも忘れません。


祐天上人について
 
 さて、お塁と助を供養させた祐天上人ですが、この方も実在の人物です。五代将軍徳川綱吉、その生母桂昌院、徳川家宣の帰依を受け、下総国の大巌寺・弘経寺・江戸伝通院の住持を歴任し、のちに増上寺36世法主となり、大僧正に任じられました。
 この増上寺とは、徳川将軍15代のうち6人が葬られているお寺で、重要文化財が数多く存在するお寺です。
 ちなみに東京タワーというと色々と心霊現象が取り沙汰されていますが、それは東京タワーの土地の一部はもとこの増上寺の墓地の一部が提供されているからなのかもしれません。

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東京タワーから見た増上寺

 晩年は江戸目黒の地に草庵(現在の祐天寺)を結んで隠居し、その地で没しました。享保3年(1718年)82歳で入寂するまで、多くの霊験を残したとされています。
 このように立派な僧侶には、色々と伝説や尾ひれがつくものですが、この累ヶ淵の事件が起きた時は、祐天上人は本当に近くのお寺にいたことがわかりました。

 下の左の赤い印が、
祐天上人の居た弘経寺です。右の赤い印が法蔵寺のお塁一族の墓のある場所です。距離にして歩いて10分ほど。本当に目と鼻の先にいたんですね。
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 後ろに見えるのは鬼怒川の土手でです。この場所の近くで助や塁が殺されたかと思うと、
身勝手な人間のエゴの怖さを感じます。
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 この冬の季節の寂しい雰囲気を醸し出している雑木林や、鬼怒川を眺めていると、その時代に戻ったようでした。
 この場所は当時もそう変わっていないのかもしれません。実在の事件ということで、他の怪談とは違うリアルティを感じました。
 助は夫の愛情が欲しい母親に殺され、塁は、夫に殺されるという悲しい話です。

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 怪談として、芸能として語り継がれることで二人の供養につながるのかもしれません。
 
 帰りは、関東平野を感じさせるに充分な広大な畑の中の294号線を帰りました。
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よろしければこちらもどうぞ
→日本の三大幽霊


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