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◆主演作は3本のみ。彗星の如く現れ去っていった映画スター
二十世紀最大のスター、叛逆のヒーロー、傷ついた青春アイコンなど、数々の異名で世界中から愛されたジェームズ・ディーン(James Dean 1931〜1955)。
主演作は三本。スターの座にいることわずか一年。彗星の如く現れ、当時の人々に鮮烈な印象を与え、たった24歳でこの世を去った映画スターです。
1955年9月30日のこの日。愛車であるポルシェ・スパイダー550を走らせていたジェーンは、前方から走ってきたフォードと正面衝突をし、即死しました。
◆不吉な気持ちにさせる車
当時のジェームズ・ディーンはレーシングカーの魅力に取りつかれ、撮影の合間をぬってはドライブを楽しんでいました。
そして彼は運命的な車と出会います。その車の名は、ポルシェ550スパイダー。
ディーンのレーシングチームの専属デザイナーであったジョージパリスは後にこう語ります。
「ディーンが車を買った時、私も友人も、ひと目みたときからなんだかその車に嫌な感じがしたんだ。彼の車には数度乗ったが、その時もその車には嫌な感じがして、どうにも落ち着けなかったんだ」と。
パリスはこの車にレース・ナンバーの130と愛称の「リトル・バスタード」をペイントした人物です。
「ディーンの友だちさえ、サリナスに行く前の晩に彼に「行くな！」といったらしい。私もなんだか全然安心できずにいたんだ。」ディーンと面識があったアレックス・ギネスも、彼が事故でなくなる一週間前に「それは早く手放したほうがいい」と忠告したといいます。
◆呪いは続く
実はこの事故を起こした時にディーンの横にレースのメカニック担当のラルフと、後ろを空のトレーラーで緒に走行していたディーンの友人で俳優のビル・ヒックマンとカメラマンがいたのです。
事故を起こした時にディーンは即死、ラルフは重症を負いましたが、一年の入院生活の後に職場に復帰したものの数年後に再び自動車事故に遭い死亡。ディーンの死に立ち会ったビルもカメラマンもその後、それぞれに事故死しているのです。
ディーンの死後、事故車のポルシェである「リトル・バスタード」は多くの部品に損傷がなかったので、ジョージ・バリスが買い取りました。
しかし、ガレージに収納しようとした時に落下事故を起こして作業員が骨折。
その後、エンジンとトランスミッションが二人の医師のレーサーの車に積まれましたが、エンジンを搭載したレーサー(ウイリアム医師)はレース中にタイヤが外れ、その場に居合わせた警官が怪我。
もう一人のトロイ医師の方はレース中にスピンを起こし、木に衝突して即死。
バリスが唯一所有していたボディは、カリフォルニア警察主催の交通キャンペーンに参加することになっていたのですが、最初の展示会場で火事が起こり、サクラメントの高校ではマウントが落下して学生が臀部に怪我を負いました。
更に数週間後、ジェーンが参加する予定だった因縁のサリナスへ向かう途中、運搬中の車がスリップして運転手が投げ出されて死亡。
次はオークランドで、トラックの荷台に積まれていたボディが突然真っ二つに割れ、高速道路に落下、他の車の事故を引き起こします。
オレゴンでは、運搬中のトラックのブレーキが故障しスリップ、積んでいたリトルバスタードごと店に突っ込み、その店を全壊させてしまいます。
このため、ニューオリンズに到着した頃にはリトルバスタードのボディは11部品にまでバラバラになるのです。
こういう奇怪な出来事に見舞われた翌年の1960年。所有者のパリスは、フロリダ・マイアミでの展示を最後にすることにし、今度は貨物列車で輸送することにします。
ところが、最後まで残ったリトルバスタードの残骸は、この輸送中に忽然と姿を消すのです。ジェームズ・ディーンの熱狂的ファンなどが盗んだのではないかと推測され、色々と捜査をしたのですが結局犯人は見つからずじまいとなります。
バリスはそれ以降、独自に探偵を雇い、消えたリトルバスタードの行方を探すのですが、手がかりはまったくなく、現在もその残骸は見つかっていません。
◆ディーンは己の死を予感していた？
有名人が最後に所有していた愛車とあって、噂は絶えないものですが、実際に死亡事故や怪我がこうも起きると、車自体に何かとり憑いているのではないかとも思えます。
しかし、ジェームス・ディーン自身は己の死を予感していたのではないかという話もあるのです。
現に死の数週間前からディーンは急に友人たちに連絡を取るようになり、まるで形見分けのように自分が大切にしていたものをプレゼントしていたといいます。
「マーカス」と名付けて溺愛していた猫も、死亡の前日に友人女性に譲っています。
彼の有名なセリフに
「急いで生きないと。死に追いつかれてしまうから」
「これ以上いい死に方があるかい？一瞬にして跡形もなく、しかも栄光に包まれて死ねるんだ」とも。
ディーンが遺したこの言葉は、まるで自らの運命を予言していたかのようです。
◆ジェーンとポルシェ・スパイダーの因縁
シルバーのポルシェ550スパイダー。それはジェームズ・ディーンの夢の具現化でもあったはずの車。それなのに、なぜ、持ち主に不幸をもたらし、その後も周りの人々を巻き込みながらひたすらに自己破壊の道を突進していったのか。
まるで車自体が自殺願望の意思をもって破滅へと突き進んだかのように・・・。
ジェームズ・ディーンの死は、はからずも本人の意図が願ったのかのようなものでした。彼のあまりにも早すぎた悲劇的な死は、彼の名を永遠の青春に閉じ込めてしまうことになります。そして若者たちの青春のシンボルとして輝き続けることになるのです。
「死」を携えてジェームスの前に現れたかのようなポルシェスパイダー・・・自分をも破壊しながら、一体どこへ消え去ってしまったのでしょうか。
<参考資料>
『あの事件に隠された恐怖の偶然の一致』二見文庫
ジェームズ・ディーン Wikipedia 他
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ディーンが無くなったスパイダーに、その後そんな事があったとは知りませんでした。何かがいた、としか思えませんね。
by 下町の忠犬 吾号 (2017-01-10 00:30)