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ピーターパンはセックス・シンボル?

Cap 936


 本日12月27日「ピーターパンの日」です。1904年のこの日、イギリスの劇作家ジェームス・バリー
の童話劇『ピーターパン』がロンドンで初演されたことに由来しています。

 今回はこの有名なピーターパンが、ヨーロッパのセックス・シンボルだという話を。


ピーターパンの物語のあらすじ

 
ピーター・パンは海賊のフック船長やインディアンのタイガーリリーがいる異世界・ネヴァー・ネヴァー・ランド(ネバーランド)に住み、妖精・ティンカーベルと共に冒険の日々を送る永遠の少年です。
 このネバーランドにはピーターと同じように親とはぐれ年を取らなくなった子どもたちがいて、ピーターは彼らのリーダー的な存在です。
 大人にならない永遠の少年という設定から
「ピーターパン症候群」という言葉も生まれています。これは、大人という年齢に達しているにもかかわらず精神的に大人にならない男性を指す言葉で、「ニート」とか「引きこもり」などの良くないイメージとして共に使われる場合もあるようです。

 さて、このピーター・パンの外見ですが、緑の服に細い足、尖った耳を持つ少年のイメージが浸透していますが、これは ギリシャ神話で登場する ”
パーン(パン)神”をモチーフにしているという説があります。

ピーターパンはセックス・シンボルだった?

Cap 935 『ピーターパンはセックスシンボルだった』(クレスト社1996年発刊)という書籍でしたが大変興味深い内容でした。
 この書籍によると、ピーターパンの原型は人間とヤギを合体させた半人半獣の神から来ているそうです。そういえば、彼の足がスマートで細いのは、痩せているからではなくヤギの脚だからで、耳が尖っているのも、ヤギの耳だからだそうで。
 つまり、ピーター・パンは上半身が人間で、下半身がヤギの半獣神という姿で、ディズニーのアニメも、こうした西洋の文化的背景をじつによく調べ、ピーター・パンに
シュリンクスの葦笛をもたせ、ヤギの耳、細い脚、おかしな靴からは蹄、帽子を取ればヤギの角が出てくる事を連想できるように描いているそうです。うーん、そう言われればそう見えますね。

 このヤギの半獣神は、古代ギリシャの理想郷 “アルカディア” に棲み、羊の世話をしていました。そしてこの神は生命力、生殖力、男根の神として崇められていた。ということで、いわば男性の憧れでもあるわけです。

Cap 940  ちなみに「パニック」という語源もこのパーンから来ているそうで、古代ギリシアの人々は、家畜の群れが何の前触れもなく突然騒ぎだし、集団で逃げ出す現象について、家畜の感情を揺り動かす見えない存在が牧神・パーンと関係していると考え、これを「パーンに関係するもの」(パニック)と呼んだそうです。

 ピーター・パンの全身を覆う緑色は “自然” それも単なる自然ではなく、つねに生命力が芽吹き、緑の木々が茂る生命力の旺盛なアルカディアの森を暗示していて、ピーター・パンや妖精ティンカー・ベルが棲む夢の楽園バー・ランドは、この半獣神パンや妖精たちがいるアルカディアのイメージに繋がるわけですね。

Cap 937  よって「ピーター・パンの物語」には、表と裏のシナリオがあることがわかります。
 表のシナリオでは、愛と冒険、友情の “ファンタジー” で、裏のシナリオには、生とは何か、死とは何かという、性とはなにかという人間にとって普遍的かつ根源的テーマが隠されているとのこと。
 つまり、表は児童向けのシナリオ、そして裏は大人向けのシナリオなのだそうです。

 その他にも、フック船長のチクタクワニとの関係が「時間の流れの中の生と死に関する暗示」など意味深なストーリーが沢山隠されていることを考察しています。 
 
 この本、絶版なのですが、見つけたら是非一読されることをオススメします。

ヒット作品の背景には神話、民話などがある場合が多い?


 流行するものやヒット作品の背後には、こういう神話や民話などをモチーフにした題材が多いように思います。子供の頃に聞かされたり、読んだ記憶がなんとなくある、懐かしい感じ?それは、民族や人類などの潜在意識に訴えるものなのかもしれません。

 逆に未来物はイメージがしずらいのでヒット作を生み出すのは難しいとも。
 そういえば未来ものに分類されるSF大作の「スターウォーズ」も始まりは「
A long time ago in a galaxy far, far away . . . . (遠い昔、遥か彼方の銀河系で...)」と実は遥か昔の話ですね。
 どこか懐かしい感じがするのもそのせいなのでしょうか。

(Amazon)ピーター・パンはセックス・シンボルだった―なぜ、人は彼を愛しつづけるのか (クレスト選書)

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