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日本の三大幽霊〜お露さんと累(かさね)さん

 前回、日本の三大怨霊として菅原道真、平将門、崇徳院をとりあげましたが、今回は日本の三大幽霊を。
 まず、誰もが思い浮かべるのは、「四谷怪談」お岩さんでしょう。異論はないと思われます。
 そして、1枚〜、2枚〜で有名な「番町皿屋敷」お菊さん。

 これに「牡丹燈篭」お露さんか、累ヶ淵累(かさね)さんが続きます。

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 日本三大怪談では、四谷怪談、番町皿屋敷、牡丹灯篭となり、江戸三大幽霊として 、お岩(四谷怪談)、お菊(番町皿屋敷)、 累(かさね)(累ヶ淵)が選ばれ、 日本三大幽霊では、お岩(四谷怪談)、お菊(番町皿屋敷)、お露(牡丹灯篭)となります。
 三大怨霊は男性で、三大幽霊は女性というのが特徴的ですね。

 さて、今回は、日本の幽霊の3位を争う、牡丹燈篭お露さん
累ヶ淵累(かさね)さんについて。


◆牡丹灯籠


 先に申し上げておくと、お露さんは実在の人物ではありません。中国の明の時代の小説集『剪灯新話』に収録された『牡丹燈記』に着想を得て、三遊亭圓朝という落語家が創作した怪談です。
 歴代の落語家たちが演目に上げたり、歌舞伎化されて有名になりました。

あらすじ

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   旗本飯島平左衛門の娘、お露は浪人の萩原新三郎に恋したあげく焦れ死をします。
 お露は自分の後を追って死んだ下女お米とともに、夜な夜な、牡丹灯籠を手にして新三郎のもとに通うようになります。
 その後、新三郎の下働き、関口屋伴蔵によって、髑髏を抱く新三郎の姿が発見され、お露がこの世の者でないことがわかるのですが、このままでは命がなくなると教えられた新三郎は、お露が家に入れないように対策を講じます。
 良石和尚から金無垢の海音如来をもらい、魔除けの札を貼りますが、下働きの伴蔵の裏切りを受け、ついにお露の侵入を許してしまいます。
   これに、飯島家のお家騒動や伴蔵と女房お峰の因果話がからんできます。
 日本の幽霊には足が無いのが一般的であるのに対して、牡丹灯籠のお露は、カランコロンと駒下駄の音を響かせて夜道を歩いて来る、という演出にも、中国的な幽霊の名残りが見られますね。



累ヶ淵(かさねがふち)

 こちらは実在の事件が元になっています。累ヶ淵は、現在の茨城県常総市羽生町の法蔵寺裏手辺りの鬼怒川沿岸の地名です。この話も様々に脚色され、怪談噺として江戸時代に広まりました。

あらすじ
 下総国の岡田郡羽生村に、百姓・与右衛門(よえもん)と、その後妻・お杉の夫婦がいました。お杉には連れ子の助(すけ)という子がいましたが、生まれつき顔が醜く、足が不自由であったため、与右衛門は助を嫌っていました。
 そして助が邪魔になった与右衛門は、ある日、助を川に投げ捨てて殺してしまいます。あくる年に与右衛門とお杉は女児をもうけ、累(るい)と名づけましたが、累は助に生き写しであったことから助の祟りと村人は噂し、「助がかさねて生まれてきたのだ」と「るい」ではなく「かさね」と呼ばれました。

Cap 94.jpg    両親が相次いで亡くなり独りになった累は、病気で苦しんでいた流れ者の谷五郎(やごろう)を看病し、二代目与右衛門として婿に迎えます。
 しかし谷五郎は容姿の醜い累を疎ましく思うようになり、累を殺して別の女と一緒になる計画を立てるのです。
 正保4年8月11日、谷五郎は家路を急ぐ累の背後に忍び寄ると、川に突き落とし残忍な方法で殺害します。
 その後、谷五郎は幾人もの後妻を娶ったが、尽く死んでしまいます。そして、6人目の後妻・きよとの間にようやく(きく)という名の娘が生まれますが、菊に累の怨霊がとり憑き、菊の口を借りて谷五郎の非道を語り、供養を求めて菊の体を苦しめます。
 近隣の飯沼にある弘経寺(ぐぎょうじ)に滞在していた祐天上人はこのことを聞きつけ、累の除霊に一旦は成功しますが、再び菊に何者かがとり憑きます。
 祐天上人が問いただしたところ、こんどは、助という子供の霊でした。古老の話から累と助の経緯が明らかになり、祐天上人は助にも十念を授け、戒名を与えて成仏させました。
 
 この累の物語が最初に知られるのは、元禄3年に出版された仮名草子本『死霊解脱物語聞書』で、これによれば、慶長17年から寛文12年までの60年にもわたって繰り広げられた実話に基づくとされています。
男たちの身勝手で殺されしまう女性の恨みの物語なのです。 

 近くの法蔵寺には、実在した累を弔った墓があり、常総市の指定文化財になっています。また、法蔵寺には祐天上人が除霊や成仏させるに用いたという数珠・累曼陀羅・木像なども
保存されています。

 管理人的には、創作である牡丹灯籠よりも、こちらの累さんの話の方が、実在していただけにグッとくるものがあります。

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