雨銀さんのYouTube「怖い話 43話」からです。
関東の地方鉄道に乗って通勤している人から聞いた話です。
その人はN市という始発駅から通勤しているのですが、営業区間が短い私鉄で乗車時間は20分ほどもないのです。
珍しく座ることができたため、そのままウトウト寝てしまいました。
目が覚めると乗っている車両は同じでしたが、辺りは見知らぬ田園風景の中でした。
その人はぼんやりしながら
「知らないうちに支線が出来て、間違えて乗ってしまったのかな。」
とあまり深く考えないで乗り続けました。
隣に座っていた老夫婦の話を 何気なく聞いていると
「そういえば、お前にも随分苦労をかけたよなぁ。」
「いえいえ、そんな気にしないで。」
となにやら会話をしています。
目の前に座っている女子高生たちも
「もう少し、色んなところ行きたかったよね。」
「なんか残念よね。」と話しています。
しばらく走っていくと旧字体の漢字が7から8文字ぐらいあるような難しい名前の駅に止まりました。
そこで三、四人下ります。田舎の無人駅で、車掌が切符を受け取ると、電車が再び発車。 降りた客は 田んぼの一本道をずっと遠くまで歩いて行きます。
「朝に仕事もしないで何処に行くんだろう?」
不思議に思いながら電車から眺めていました。
同じようにしばらく走っていくと、不思議な駅名があらわれ、そこで数人ずつ降りて行きます。
やがて日が暮れてすっかり夕方になってきました。
そのころには隣の老夫婦もいなくなり、目の前の女子高生もいなくなり、満員電車も二、三人ぐらいしかいなくなりました。
まるで地方のローカル線のように、暮れゆく田園の景色のなかを走っていきます。
ウトウトはしていましたが、その人もさすがに会社にいかなくちゃまずいとどこかで思ったのでしょう。 車掌に聞きに行きました。
「あのう N駅にはいつ着くんですか・・・?」
車掌はこう答えました。
「お客さん、切符を見せてください。」
彼は定期券で乗っていましたが、なぜか切符を探してしまいました。しかしいくら探しても見つかりません。
すると車掌が怒り始めました。
「お客さん、切符なしに乗り込まれちゃ困るんだよ。この電車は貸し切りなんだから。早く降りてくれ。」
彼は車掌に襟首を掴まれ車内を引きずられます。車掌は走行中のドアをガラガラッと開けると、その人を車外に放り出しました。彼は列車から放り出されると、ちょうどそこは川をまたぐ鉄橋で、真っ暗の中を落下していきました。
気がついた時、その人はある市立病院の病棟にいて、鼻や器官に何本も管を差し込まれた状態で、時刻はすでに夜の九時ごろだったそうです。
その人が乗った列車は、駅の停車場に激突して多数の死傷者を出した列車だったのです。 彼は朝から意識不明で、危篤状態からようやく生還したのです。
今から十年ほど前、ある鉄道で実際にあった事故です。この時の生還者の貴重な話でした。
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生還者の体験談は良く聞きますね。
生還できなかった方からは聞けませんからね。
by johncomeback (2014-06-13 20:13)